相馬野馬追(そうまののまおい)の行列や神旗争奪戦では、騎馬武者たちが背負う旗が大きな見どころの一つです。この旗にはどれほど多くの種類があり、どのような意味が込められているのでしょうか?
2500種類ものデザインがある旗
野馬追に登場する旗のデザインは、なんと約2500種類もあります。それぞれの旗には、家ごとの紋章や特徴が描かれており、色や模様が異なります。この多様なデザインをじっくり見るだけでも、野馬追の奥深さを感じることができるでしょう。
旗がたくさんある理由
旗の役割は単なる装飾ではなく、「家のしるし」を表しています。昔から「同じ模様や色の旗を使ってはいけない」というルールがありました。これには実用的な理由があります。
- 一人ひとりを区別するため
広大な野原で行われる野馬追では、参加する騎馬武者の数が非常に多いため、旗が名札のような役割を果たします。特に神旗争奪戦など、複数の騎馬武者が一斉に動き回る場面では、旗のおかげでどこに誰がいるのかが一目で分かるようになっています。 - 役職を示す「役旗」
旗には、家のしるし以外に「役職」を示す「役旗(やくばた)」もあります。役旗のデザインにはそれぞれ意味が込められており、例として以下のようなものがあります:
- 軍師:朽葉地(くちばじ)に黒下り蜈蚣(むかで)
- 組頭や中頭:下り駒(くだりごま)
- 御使番:黒地に白一の字
これらの役旗を覚えると、野馬追の行列がより一層楽しめることでしょう。
旗のサイズ:広大な野原での工夫
現在の野馬追で使われる旗のサイズは、横が約3尺(約91センチ)、縦が約4尺5寸(約136センチ)と、かなり大きめです。この大きさは、広い原っぱで行われる野馬追の中でも、旗を背負っている騎馬武者を遠くからでも見分けやすくするための工夫です。
時代劇などで見かける旗と比べても、野馬追の旗は一回り大きく、迫力があります。このサイズ感も野馬追ならではの特徴と言えるでしょう。