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【第7回】野馬追のルーツ「野馬懸」①

相馬野馬追(そうまののまおい)の見どころの一つである「野馬懸(のまかけ)」では、白い服を着た人々が素手で馬を捕らえる姿を見ることができます。この白い服を着た人々は「御小人(おこびと)」と呼ばれています。彼らは、相馬藩の時代から続く特別な役割を担う人々であり、その存在は野馬追の伝統と深く結びついています。


御小人の歴史:相馬藩の奉公人

「御小人」という言葉は、相馬藩における職名(身分)を指します。他の藩や幕府にも同じような職が存在し、「小者(こもの)」と呼ばれることもありました。彼らは、殿様の身の回りの世話や使い走りをこなす奉公人であり、日常的に殿様の近くで働く重要な存在でした。


御小人の仕事内容

御小人の仕事は多岐にわたります。たとえば、以下のような役目を担っていました:

  1. 殿様の身の回りの世話
     殿様の食事を運んだり、お使いを頼まれるなど、日常のサポートを行っていました。殿様の近くにいる機会が多いため、身分の高い武士以上に殿様と親密な関係にあったかもしれません。
  2. 戦場での役割
     戦が起こると、御小人は殿様の旗を持ちながら要人警護を務めました。現代でいう「ボディーガード」のような役割で、殿様の安全を守るために体を張って働いたのです。
  3. 野馬懸での活躍
     御小人の中でも特に注目されるのが、野馬懸での役目です。彼らは素早い動きと高い技術で、追い込まれた野馬を捕らえます。この役目は非常に特殊であり、現代でも野馬追の中で重要な見せ場となっています。

他藩の御小人との違い

他の藩や幕府にも御小人に似た職がありましたが、相馬藩の御小人には特有の特徴がありました。他藩では、忍者や密偵のような裏の仕事に従事することもあったようですが、相馬藩では野馬懸という神聖な行事を支える役目を持つことが特徴です。


現代の御小人

現在では、野馬追に出陣している騎馬武者が御小人の役を引き継いでいます。彼らは伝統を守るために一生懸命練習を重ねています。その技術は非常に高度であり、野馬懸のシーンで見られる素手での馬の捕獲は迫力満点です。ですが、観客の皆さんは絶対に真似しないでください。野馬懸はプロフェッショナルの技術と精神があってこそ成り立つ、非常に危険な役目です。

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